公益法人において剰余金処分があり得ないことと同じく、公益法人における出捐金の表示も認められない。自治体からの基本財産の提供も、民法上からいえば寄付金である。配当が認められないのと同じ考え方により、公益法人における寄付者も持ち分はあり得ない。
いったん寄付が行なわれた以上、その金額は基本資産として積立てるかどうかにかかわらず、公益法人の正味財産の一部としてその運営の原資となるのであって、運営の方針は持ち分による議決である株主総会とは違い、理事会においてその法人の目的にてらしてどのように公益活動を行なうかという視点からのみ行なわれるべきである。公益法人を指導監督すべき自治体が等が出捐金の表示を求めるようなことはあってはならないはずである。