公益セクターの会計基準をめぐる情報


第4回 誤りのない会計処理のために


1.「ヒューマンライズ」におけるデータチェックの方法

(4)月次締切及び決算時点でのチェック方法
一般的注意事項

前回までに述べたように、コンピューターにおける会計処理では、入力時点でのインプットミスを防ぐことがきわめて重要です。「ヒューマンライズ」ではダブルチェック、トータルチェック、摘要呼出しによるチェック、理論チェック等を組み合わせることにより、誤った会計データが登録されることを防いでいます。


残された可能性としては、摘要をその都度入力した場合の科目コードの入力ミス位ですから月次及び決算時点でのチェックとしては、手書きの場合とほぼ同じ手続きをとればよいことになります。但し、手書きの場合、試算表の借方、貸方金額が最初から一致することはむしろマレであり、一致させるための点検作業が同時に記入ミス、起票ミス等の点検にもなっています。


一方コンピューターを使用した場合、試算表の借方貸方は必ず一致していますから、出力された帳票類を頭から信用してしまう傾向がありますので慎重な取扱が必要となります。


チェック方法には、大別して次の二つがあります。一つは、貸借対照表の残高の確定をしていく作業です。これは、複式簿記の本質を利用した方法であり、このことによって逆に、収支計算書及び正味財産増減計算書の正確性を高める効果を持ちます。これについては次頁「残高確定作業によるチェック」で詳しく説明します。


もう一つは、監査上、「通査」と呼ばれる方法です。出力した元帳(総勘定元帳、収支元帳兼予算差引簿」を勘定科目毎に点検していく中で異常値により誤りをみつける方法です。


まず科目と摘要との関係に注目して点検します。例えば消耗品費の中に「××委員会例会」という摘要があれば、入力ミスの可能性が大きいと考えられます。摘要の入力ミスか、会議費として計上されるべきものが消耗品費として計上されている場合です。


次に、その科目にふさわしくない金額の記帳がないかに注目してチェックします。例えば消耗品費の中に、20万円以上の取引があれば、固定資産取得支出を消耗品費として仕訳しているのではないか点検してみる必要があります。


主にこの2つの観点から元帳を一覧して点検していくのが、「通査」であり、月次締切又は、決算の最終段階で会計責任者が行なうべきものです。又、ここでは月次締切及び決算時点でのチェックを区別せず一括して述べます。これは、コンピュータを利用した会計処理において、月次決算のレベルを決算処理に近づけることにより、会計処理の質的向上をめざすという「ヒューマンライズ」設計時の一つの大きな目的を反映させたものです。




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