公益セクターの会計基準をめぐる情報


第4回 誤りのない会計処理のために


1.「ヒューマンライズ」におけるデータチェックの方法

(1)コンピュータシステム利用時の会計処理ミス
パンチ(入力)ミス

コンピュータの講習会へ行くと、よくパンチミスの話が出ます。パンチャーは平均して1000回に6回くらいのタッチミスを犯すということです。ほんの十数年前までは、パンチミスがこれだけ発生するのだから、コンピュータ内部処理に比べて入力作業が大きい事務処理系には、コンピュータは向かないといった議論もあった位です。


たしかに、1000枚以上の伝票のうち、6枚も誤りがあるとなれば、会計上は失格です。安心して計算書類を見ることも、それにもとづいて公益法人の現状を分析し、将来を考えることも不可能です。従って、「パンチ(入力)ミス」をいかに防ぐか、又もし発生してもそのミスをいかに早く確実に発見し、修正するかが重要となってきます。


ところが、この「パンチ(入力)ミス」の発見も簡単なことではないのです。1000分の6という誤りの確率は、会計データとしては許容範囲を超えるものですが入力のプルーフリフト(入力内容の一覧表)から見つけだそうとすると簡単ではないのです。例えば、100枚の伝票を入力したとすると、単純に先程の確率からすれば、その中に入力ミスがあるとは限らないことになります。誤りが、確実に含まれていることが判っていれば、その誤りを探す作業はそれほど苦痛を伴わないのですが、逆にすべて正しいかもしれないデータ、それも一覧表で示されたものの中から誤りを捜そうとすることは、実際の作業としては、非常に困難なものです。


大量なデータを扱うシステムにおいて、その設計にあたり、とりあえず入力して後でチェックすればよい、といった考え方が忍び込むとすれば、そのシステムがもたらす業務レベルの低下は、上記の困難な作業を考えると避けることは出来ません。


以上悲観的なことばかり述べてきたようで、「ヒューマンライズ」を使用していただいている皆さんに不安を与えたかもしれませんが、御安心下さい。


「ミス」がコンピュータシステムを困難にするものではあっても、「図」に示したように、それさえ克服すればその後作業におけるミスは防止できるからです。詳しい内容は次項以降に譲るとして、「ヒューマンライズ」における「パンチ(入力)ミス」についての基本的な考え方を説明してこの稿を終わります。


「日常処理業務」の伝票入力については、その日入力した伝票の修正は自由に行なうことが出来ます。但し、翌日からは管理者承認業務でしか修正できません。これは次のような設計思想の表現です。


「まず、誤ったデータは可能な限り入力できないようにすること。つまり、様々な、チェックにより発見されたミスデータは、入力時点で、受付けないようにすること。次に、伝票入力時点では発見できないミスデータについては、伝票入力後、複式簿記の原理と公益法人の特質という観点からチェックを行ない、可能な限りその時点で、パンチ(入力)ミスの有無が発見できるようにすること。これらの工夫を十分に活用して、その日のパンチ(入力)ミスは、その日のうちに発見し修正してしまうこと。」以上です。




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