コラム


第1回 行政改革と公益法人


5.子供たちの姿

(1) 公益法人の必然性

4で述べた社会資本の充実にともなって、その運営を担うのは多くの場合、公益法人です。森林や緑地や公園の管理は、森林公社、森と緑の公社、緑化協会、公園協会といった名称のついた公益法人が、担っています。


在宅介護を担っている公益法人には、福祉公社、福祉サービス公社という名称がついています。在宅介護については民間業者の活用の必要性が指摘されており、それも重要なのですが、非常に危険な面をもっていると思います。


私は日本で一番早く在宅介護を企業化したのは、豊田商事だと思っています。一人暮らしの老人の家へ上がり込んで、身の回りの世話をし、老人に頼り切られるぐらいの人間関係を築いてから、紙切れを金だといって売りつけたのです。妙な宗教法人が、布教にしろ、別の目的にしろ、組織的にそれを行えばこんなに恐い事はありません。公益を目的として、営利を目的としない公益法人が、在宅介護の一翼を担う必然性がここにあります。


(2) 公益法人の役割

中小企業の従業員のための福利厚生施設の斡旋や、イベントのチケットの斡旋、慶弔金の支給や、結婚・出産祝金の支給などを実施している公益法人は、勤労者福祉サービスセンターという名称で活動しています。そのサービス内容は、今後ますます充実していくものと思われます。


公的施設のうち劇場やホールを管理運営している公益法人は、文化振興財団という名称で、スポーツ施設や駐車場、駐輪場などの管理運営をしている公益法人は、施設管理公社という名称で活動を行っています。社会資本の充実につれていくつもの施設を一括管理する公益法人も増えてきています。


これら社会資本の充実により、その運営のために設立される法人は、今後ますます増加するでしょうし、その役割がますます重要になってくる事は、4で述べた通りです。一方、様々な規制について、その実効性を保障するために活動を行っている法人は、規制緩和にともない、その業務は縮小されるかもしれません。


しかし、社会的公正さを守る規制がなくなる事はなく、その業務の重要性は変わる事はありません。また、国家的な規模で行う必要のある試験研究事業の、実施や助成を行っている公益法人もあります。間違いなく人を豊かにしてきた科学技術の進歩を保障するためにも、その必要性は今後とも変わりません。ただし、助成の規模や、研究成果は、当事者だけでなく、一般に情報公開される必要があります。



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