コラム


第1回 行政改革と公益法人


5.子供たちの姿

(7) これからの公益法人に必要なこと

財政的な観点からすれば、日本の公益法人にとってむしろ必要な事は、税法上の寄付金控除の枠を広げ、寄付によって財政基盤を強化する事ではないでしょうか。生活の豊かさを増やす事や、安全、公正についてその果たす役割について評価が高い公益法人が、より多額の寄付を集め、その活動をますます深めてゆくといった姿が日本でも定着すれば、理想的です。NPOの為にも、この事は実現されてほしいものです。


情報公開に関する今回の改正により、公益法人の情報公開は一気に進むものと思われます。悪用されるのではないかと心配するよりも、監視されることとその緊張関係に、慣れていかなければなりません。


(8) 終わりに

虎ノ門を第二の権力、官僚組織と呼び、特殊法人や公益法人に対する攻撃を、テレビで繰り返している評論家もいます。その底の浅い論議を聞いていると悲しくなります。公益というものについて、恐らく一度も深く考えたことなどないのでしょう。攻撃できて、そのことが飯の種になる対象を見つけた喜びが感じられていやになります。


まるで公益法人とは、官僚の退職後の再就職のためのものでしかなく、官僚の内々で利益をプールし再配分する機関でしかないと言わんばかりです。必要もないのに間に入って、何もしないのに、マージンを取る。仕事といえば新聞を読むだけの理事が、高い給料をもらって、退職金まで持っていく。


様々な政策をOBとして陰で支配し、自分たちの利益を増やすために画策する集団、権力であるという主張です。そんな誹謗があてはまる公益法人は無いと信じます。もし存在するとすれば、公益法人という看板をおろすべきです。


企業活動は本質的に利益追求が目的です。売上や粗利益の、あるいは生産高のノルマは避けて通る事は出来ません。そうでなければ、企業として生き残れないからです。効率が最優先され、結果が全てです。人々はその中で生きています。全体としては物質的な豊かさが満たされた現在、そんな世界だけでは息が詰まります。一企業では出来ない科学技術の進歩に寄与するために。


生活としての豊かさが求められている現在、その豊かさの増大に寄与するために。社会の安全や公正さを守ることに寄与するために。それぞれの公益法人の一層のご活躍を心からお祈りします。おツウや与ひょうが幸せだった時代のように、お金より大事なものの世界だけに生きているのが、子供たちです。子供たちの笑っている姿が、いつでもかわいい日本であり、世界であるために、公益法人の果たすべき役割は、ますます大きくなっていくと思います。


終わり。



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