コラム


第3回 インターネットの光と影


3.インターネットと西部劇

(2) インターネットの可能性

インターネットは、従来の公衆回線ばかりでなく、ケーブルテレビとも結び付こうとしています。その結果、仮想空間上に映画館や劇場を作ることが可能になります。映画や劇を家庭で見ることができるだけでなく、何時でも自分が好きなときに見始めることができ、途中で止めたり、巻き戻してもう一度見ることも可能になる(ビデオ・オン・ディマンド)のです。大画面の壁掛けテレビが普及すれば、映画館の存在価値は、どうなるのでしょうか。もっとも、観客の反応との相互作用が重要な要素である演劇の場合は、違ったことになるでのでしょう。


インターネット上に、事務所を作るところも出てくるでしょう。出勤時間を自由に選べるというフレックスタイムを超えて、出社するオフィスの場所が必要に応じて変わるというフレックスオフィスや、在宅勤務が可能になります。実際に顔を合わせてできる人間関係の必要性を、なんらかの形で保証すれば、理論上は、ばかでかい本社ビルは必要なくなります。


このようなオフィスが一般的になれば、通勤地獄がなくなり、巨大なコンクリートのかたまりであるビルが緑の公園に変わり、住まいが分散するため地価が下がるという姿を描くのは、あまりに理想主義的な考え方でしょう。しかし、人間の生活に想像を越えた大きな変革を及ぼす契機になる技術革新であることは間違いありません。


(3) インターネットの弱点

インターネットの弱点は、自由であることの裏返しとして、有効な規制が働かない点にあります。どんな人間が参入し、どんな犯罪が行われるかわからないということは、現実社会でも同じですが、プライバシーの保護が極めて弱いのです。


今のところ、ピーピングトムか、こそ泥程度だと思われますが、仮想空間上の商取引が本格化すれば、強盗、詐欺団、銀行強盗も現れてくるでしょう。プライバシーの保護が弱いということは、犯罪者にとって、つけ入るすきがいくらでもあるということなのです。これらに対して、仮想空間上で、どのような保安官や騎兵隊が現れるかも興味がありますが、本物の西部劇のように自分のことは自分で守るという気構えの方が必要かもしれません。



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